ああ、かつ丼を食べたい。できればかつ丼セットでかけそばがいい。
できれば、なるべくおいしい蕎麦で。
では、立川若葉町団地の近くにある「手打ちそば・うどん おざき」にいこう。
昔っから、若葉町にあり続けている蕎麦屋だ。きっとどんぶりもうまいはずだ。
店にはいると、私より年配の花番さんが温かい声で「いらっしゃいませ。お好きな席にどうぞ」と声をかけてくる。親しみやすいいい店だ。奥にはこれまた、高齢のご主人が料理を作っている。「おざき」は昔っからの地元の店なのだ。
お品書きを見て、かつ丼セットを注文しようと探すが、 ない。
「ごめんなさい、かつ丼はやっていないの」と花番さんはすまなさそうな顔をするが、私へのダメージは大きい。
しばらく、ぼんやりお品書きを眺め続けて、結局「親子丼800円」にしたのだった。
店内に飾ってある皇室の写真を拝見していると
あの3.11の被害が残っている寒い体育館で、被災者の手を握り目を見ながら話を聞いていらっしゃった様子が思い出された。
私の両親は老い、身体が痛くて外にはでれなくなっている。同じ歳の首や背中が曲がってきた両陛下があの寒い板の間で膝をついてお声をかけていらっしゃる姿に感激したものだった。
さて、親子丼の具はたまごの量が足りないのか、上からごはん部分が見えて頼りげない。味は醤油がしょっぱい昔風(?)だ。
白みそ仕立てのみそ汁に大根の千切りが大変おいしい。漬物は自家製らしく 十分に発酵している。
懐かしくほのぼのとする料理と店だ。
お店のスタッフは歳をとっている。跡取りはいるのだろうか。
若葉町団地とともに生きてきた「おざき」は、若葉町団地の老朽化と住民の高齢化とともに年老いてきた。
いつまでも元気で頑張ってほしいと思う。

2016年2月5日昼飯
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